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仕事の繰り返し作業を自動化したいけど何から始めればいいか分からない

2026年8月時点
■ 先に結論

先に決めるのは道具ではなく、自動化する作業を1つに絞ることです。
「①毎週のように繰り返していて、そのたびに時間を取られる ②手順が毎回同じで判断が要らない ③やり直しがきく」の3つに当てはまる作業を1つだけ選びます。
道具はそのあとで、いま使っているアプリの標準機能から順に試します。

毎週のExcelへの転記、PDFにして保存、決まった相手へのメール添付、フォルダの仕分け——「自動化したい」とは思っているが、何から手を付ければいいのか分からない。ここで止まる人は少なくありません。調べると道具の名前ばかりが先に並び、「自分のこの作業は自動化に向いているのか」を判断する物差しが見つからないからです。

※本記事の手順は2026年8月時点の各社公式ドキュメントに基づく、パソコンでの操作です。機種・バージョン・契約内容により、画面の表記が異なる場合があります。

つまずくのは道具選びではなく「対象選び」

自動化が続かないのは、たいてい難しすぎる作業から手を付けているからです。人が読んで判断する作業、月に一度しかない作業、失敗すると取り返しがつかない作業は、最初の一歩に向きません。向いているのは何度も繰り返していて、毎回同じ手順で、失敗しても元に戻せる作業です。

手順1: 自動化する作業を1つだけ選ぶ

  1. 1週間、繰り返した作業を書き出す。 「請求書の一覧をExcelに転記」のように名前だけで構いません。
  2. 物差し①「頻度×時間」で並べる。 1回あたりの所要時間に1週間の回数を掛けて、1週間あたりの合計時間を出し、大きい順に並べます(分単位のざっくりで十分です)。今回かぎりの作業は候補から外します。
  3. 物差し②「判断が要らない定型か」で絞る。 「毎回同じ順番で、別の人がやっても同じ結果になるか」を見ます。途中で内容を読んで決める場面があるなら、その前後(集める・形をそろえる・保存する)だけを切り出します。
  4. 物差し③「壊れても戻せるか」で絞る。 メールを送る、システムに登録するなど取り消せない操作を含む作業は、最初の1つには選びません。「コピーに対して行う」「下書きまでで止める」に作り替えられるなら候補に残せます。冒頭の「決まった相手へのメール添付」なら、下書きを作るところまでが最初の範囲です。送信そのものを組み込むのは、手順4の突き合わせを何度か回してから(問い合わせメールの仕分けと定型返信を整えたい場合は → 問い合わせメールの仕分け・一次返信が手作業で追いつかない)。
  5. 3つとも当てはまるものを1つだけ選ぶ。 2つ目に手を付けるのは、1つ目が動いてからです。
  6. 選んだ作業の手順を1行ずつ書き出す。 「添付ファイルを保存する」「表をコピーする」のように操作を分解します。この行が、そのまま設定やコードの下書きになります。

書き出しはこの形で足ります。

【自動化メモ】
 作業名  : 請求書の一覧をExcelに転記
 頻度    : 週1回 × 約20分
 判断    : なし(毎回同じ順番)
 やり直し: コピーに対して行えば戻せる
 手順    : 1. 添付ファイルを保存する
           2. 表をコピーする
           3. 一覧の最終行に貼る
           4. 日付の列の表示形式を直す
 今回やる範囲 : まず 2〜3 だけ(4は手作業のまま)

例の「4. 日付の列の表示形式を直す」でつまずくなら → Excelやスプレッドシートで日付が45000みたいな数字になる

手順が書き出せない作業は、まだ自動化の形になっていません。書き出せるところまで整理するのが先です。

手順2: 道具は「手前」から順に試す

ここから先は実際にファイルを触ります。先に手順3・4に目を通し、元のファイルを複製したコピーの上で試してください。

道具はいま使っているものに近い順に2段あります。1つのExcelファイルの中で完結するなら段1、複数のアプリやファイルをまたぐなら段2が目安で、段1で足りればそこで終わりです。そのあとに続く3つ目は道具の段ではなく、段2をやるときの補助です。

段1: いま使っているアプリの標準機能

  • フラッシュ フィル(Excel) — 続きを入れたい列に見本を1行だけ手で入力し、Enterキーを押します。すぐ下のセルに移った状態で[データ]タブの[フラッシュ フィル]をクリックします(Ctrlキーを押しながらEキーでも実行できます)。氏名を姓と名に分けるような規則的な入力を、Excelがパターンを見て続けます。うまく埋まらない時は見本をもう1行足します(Microsoft公式)。
  • マクロの記録(Excel) — 自分の操作を記録して、次から同じ手順を再生する機能です。[開発]タブの[マクロの記録]から始めます。[開発]タブの出し方・保存形式・前任者が残したマクロの扱いは → 前任者が残したExcelマクロが解読できない・動かない

段2: 決まった手順を通しで動かす道具

  • Power Automate(Windows) — 動作(アクション)の部品を並べて、決まった手順を通しで動かすアプリです。Windows 11では既定で入っていることが多く、スタートメニューから開けます(Microsoft Learn)。利用にはMicrosoftアカウントでのサインインと、インターネットへの接続が必要です(Microsoft Learn)。Windows 10のパソコンや、スタートメニューに見当たらない場合、会社のパソコンで組織のアカウントを使う場合は、導入してよいかを情報システムの担当者に確認してください。
  • Google Apps Script(Googleスプレッドシート) — スプレッドシートのメニューで[拡張機能]→[Apps Script]を選ぶと、スプレッドシートを操作する手順を書き込む画面(スクリプトといいます)が開きます(Google公式)。作業がスプレッドシートとGmail・ドライブにまたがっている場合の入口です。

(補助)コードや式が要るときはAIに手伝ってもらう

段2まで来ると、コードや式の断片が要る場面が出てきます。手順1で書き出した「1行ずつの手順」に、使っているアプリ名(Excel/スプレッドシート)と扱う列の名前を添えてAIアシスタントに渡し、案を作ってもらう方法があります(思った通りの答えが返ってこない時の頼み方)が、それが自分の作業に合っているかを確かめられるのは自分だけです。コピーしたファイルで試す結果を手作業と見比べる——この2つができる範囲にとどめてください。会社のパソコンなら、業務の内容を外部サービスに入力してよいかを社内のルールで確かめてから進めてください。

手順3: 動かす前に、戻せる状態を作っておく

自動処理は手作業と違って一気に最後まで進みます。とくにマクロを動かしたあとは、元に戻す(Ctrlキーを押しながらZ)で戻せないことがあります。だからコピーと履歴を先に用意します。

  • Excel — OneDriveまたはSharePoint(いずれもインターネット上の保存場所)に保存したファイルは、以前のバージョンに戻せます。Microsoft 365ではファイルのタイトルをクリックして[バージョン履歴]、Office 2016〜2021では[ファイル]→[履歴]です。[履歴]が無ければMicrosoft 365版の可能性があるので、[ファイル]→[情報]に[バージョン履歴]がないか確かめてください(Microsoft公式)。パソコンの中だけに保存しているファイルには履歴がないので、手順4の「コピーで試す」が代わりになります。
  • Googleスプレッドシート・ドキュメント — 画面の右上にある最終編集アイコン(最後に編集した時期が文字で出ている部分)をクリックすると、右側に変更履歴のパネルが開きます。以前の版を選び、上部の[この版を復元]→[復元]をクリックします(Google公式)。

手順4: 最初の1つは小さく作る

  1. コピーで試す。 元のファイルを複製し、名前に日付を付けて、コピーにだけ試します。
  2. 作業の全部ではなく一部だけを自動にする。 上のメモの「今回やる範囲」のとおり、まずは表をコピーして貼るところだけ。前後は手作業のままで構いません。
  3. 最初の数回は手作業の結果と突き合わせる。 合わない行が出たら、そこが手順の書き出しから漏れていた部分です。
  4. やったことを1行メモに残す。 どのファイルの何を、どの道具で自動にしたか。数か月後に手直しするのは自分です。

それでも進まない時のチェックリスト

いちばん手こずるのは、コードを書くところではなく対象を選ぶところです。1つ動けば、2つ目からは同じ物差しを使い回せます。